2006年04月16日

記事を書く理由―名人戦移行問題2

なぜ今回、名人戦移行問題を扱うことにしたのか。その理由を書こうと思います。

一つには、この問題はプロ棋界に大きな影響を与える可能性が高いということです。現在、日本将棋連盟は年間で1億円を越える赤字を出していて、現状維持が難しい状況にあります。将棋のプロがなくなってしまうとは思いませんが、このまま行けばかなりの縮小を余儀なくされるでしょう。
そして今回の問題は、急激な変化をもたらす可能性を充分にもっています。場合によっては、あっという間に縮小していくかもしれません。
なぜ今回の件が大きな問題となっているか。詳しくは別の機会に書ければと思いますが、簡単にいえば、将棋連盟の理事会は毎日新聞との契約期間が残っているにも関わらず、突然(と現時点では報道されている)毎日新聞に契約の変更を伝え、名人戦の主催を朝日新聞に移すと発表したからです。
これは、厳しい状況にあるプロ棋界を何とかしようと、連盟理事会が大きな決断をしたと考えるのが妥当でしょう。つまり、連盟理事会は自ら求めて、急激な縮小も考えられる状況に飛び込んでいったことになります。

二つ目は、今回の問題に対して、一般のファンから大きな反響が起こっていると、私には見えることです。これは、ファンの多くが、連盟の経営が危機にあることを知っていて、なおかつ今回の問題がさらなる危機を招く可能性があることを感じ取っているからだと思います。
龍王のタイトルをもつプロ棋士、渡辺明さんが開設しているブログには、今回の問題が明らかになってから、すごい数のコメントが書き込まれました。
去年、アマチュアだった瀬川晶司さんがプロ入りの嘆願書を連盟に提出し、ついにプロ棋士になるということがありました。本来ならばプロになる資格がない瀬川さんがプロになれたのは、将棋ファンと世論の後押しが決定的な要因であると私は考えています。この出来事によって、連盟とファンの関係が大きく変わったのではないかと思います。

以上2点を挙げましたが、要するに、将棋界が急激な縮小の危機にあり、それに対して去年から存在感を増した一般のファンが大きな反応をしていることに、強い興味を抱いたわけです。プロ棋界と新聞社の利害関係だけではない問題が、存在していると思っています。
そして、これは決して将棋だけでなく、その他の文化、あるいは社会そのものの在り方にまで広げて考えることが可能なのではないかという気がしています。
posted by さがみ at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ただ、連盟自体の改革も必要でしょう。

何故将棋人口が減少しているのか?
連盟の赤字経営との相関関係はどこにあるのか?
所属しているプロ棋士に求められるのは何か?

他にもあると思います。
将棋ファンの声を確認することも必要でしょうね。
Posted by 通りすがり at 2006年04月16日 19:10
>通りすがりさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の点も、大事なことだと思います。ただ、私としては、そうした現在盛んに議論されていることとは少し違った切り口で考えてみたいと思っています。それは、私の実力不足も大きいのですが、興味の方向性が違うせいでもあります。例えば、連盟の赤字体質の相関関係については、専門的な知識のない私には議論のしようがありませんし、今回の問題が持つ大きさに比べるとやや細かい部分に属することだとも思います。将棋人口の減少やプロ棋士の在り方も、大事な論点ですが、やはり具体的過ぎて私としては当面大きく取り扱おうとは考えていません。もちろん質問があれば、何らかの返答はするつもりです。
私は、例えば、今回の問題を「信義」の問題と考える人が多いのはどういうことなのか、といったことを考えてみたいと思っています。

正直なところ、今度の棋士総会までに、私の結論が出なくてもいいと思っています。それは、連盟理事会は結局無難な結論を出すだろうと考えるからです。つまり、状況がどう動くのかはわかりませんが、その時の大勢に逆らった結論を下せるほど、理事会が連盟の運営に関して確固とした信念を持っているとは思わないからです。
とはいえ、それは決して理事会任せ、連盟任せにしていいと言うわけではありません。むしろ、これから大勢が作られるにあたり、一般のファンの声が重要な役割を果たすだろうと思います。私も、議論の主流とは少し違った角度ではありますが、自分の考えを出していければと思っています。
もし興味があれば、またコメントいただければと思います。議論をすることは、自分の考えを進める有力な方法ですから。
Posted by さがみ at 2006年04月16日 23:24
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